医療トレーニングでもアイトラッキングを活用 リモートトレーニングでも効果を確認

  • Tobii
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Dr. Miyazaki eye tracking study

アイトラッキングとティーチングを組み合わせて、現場でも遠隔地でも臨場感のある体験を生徒にもたらすことについて、宮崎先生のインタビューです。

伝統的な医療トレーニング、特に外科エリアでは、実際に体験できるような学習アプローチを提供するため、直接技術を教えることができる(人体)モデルを使用します。最初のうちは講座での学習が必要となり、教育課程が進むと、実物の観察やモデリングも必要となります。しかし、現在のようなソーシャルディスタンスが必要な状況では、多くの医療教育者が、これらの実地経験を積むためのトレーニングでさえも、リモート学習とバーチャルトレーニングに軸足を移す必要に迫られています。我々は、専門委員会から正式認可を受けた産婦人科医であり、米国産科婦人科学会の特別会員であるDouglas W. Miyazaki医学博士から、近距離及びリモートでの指導で、学生に現実的な体験をもたらすような指導方法にアイトラッキングをどのように取り入れたのかについて、話を聞きました。

医師がどのようにアイトラッキングを実習に使用しているか

Miyazaki博士は、婦人科での手術について指導を行うために使われる骨盤模型「Miya Model」の発明者です。現在、アメリカ各地の40の機関がこのモデルを使用しています。彼は、このツールを使うことにより、実際の患者ではなく、模擬設定で手術の手法の実演や指導をすることができます。彼は、学生を指導するためだけではなく、技能の適格性を評価するためにも、アイトラッキングを使用しています。

自称、機械音痴の彼は、Tobii Proのウェアラブル・アイトラッカーが「すぐに使えて、非常に簡単」なことに驚くと同時に喜び、手術中、自分がどこを見ているかが分かるだけでどれほど多くの情報を得ることができるかを知って驚嘆しました。彼は、この技術を使って、「動きの効率的使用と学習の効率的使用(economies of motion and economies of learning)」と呼ぶ形で、いくつかの利点を明らかにしました。

Dr. Miyazaki teaching OBGYN students

外科手術の訓練におけるアイトラッキングの主な利点

利点1:講師の視点から視覚的に実演する技術

どのように(手術の)手順を実施するかを学生に教えるためというのが、Miyazaki博士がアイトラッキングを加えたい一番の理由でした。「外科医の目を通して実際に見ることができる点が重要であり、外科医の手がどこで動いているかを見えるようにすることが、成功するために絶対必要なことです」とMiyazaki博士は言います。手術中の外科医の手の実際の角度が大きな違いをもたらすと彼は説明を続けます。なぜなら、持つ角度がどちらかの方向に1度遠くなるだけで、予期せぬ結果をもたらすことがあるからです。アイトラッキングは、他のどんなビデオ装置でも上手く録画できない視野を見せることができる独自の能力を有しています。アイトラッキングを使うことにより、学生は実際の手術手順をリモートで見ることができ、後からトレーニングセッションを再生して、詳しく復習することができます。

利点2:個人に合わせた学習経験を作り出す

Miyazaki博士は、自分自身でアイトラッキングを行った学生と、他の学生が手順を実施するビデオを見た学生の間には、学習経験に差が出ていることに気づきました。直接関わったように見える学生は、より積極的に参加し、実習をしている自分達を撮影したアイトラッキングビデオを再生した時に自分達の手技のどこが悪かったかを、より深く理解していた、と彼は説明しました。その一方で、他の人が実習を行っているビデオを見た時には、彼らの学習経験が全く違ったものになっていました。「アイトラッキングは解剖学的な知識やどのように器具を持つかといった手技の手順を強化してくれます。」とMiyazaki博士は言います。

[Eye tracking] reinforces knowledge of anatomy and steps in mechanics of how to hold instruments.
Dr. Douglas W. Miyazaki, M.D

彼の経験によると、これにより、学生は自分達がどこを調整すべきかが分かり、自分達のスキルについて、より早く理解し矯正するようになるので、学生が短期間で技術を習得するように思われます。

Dr. Miyazaki's OB GYN students

利点3:学生と講師両方の能力を評価する

「伝統的な経験ベースのモデルから技能を証明するモデルへと、医療教育と信用保証(資格認定)がシフトするのに合わせて、外科的技術の効果的で信頼性のある評価を可能にする疑似模型の開発が必要不可欠である」とMiyazaki博士は最近の論文で述べています。

アイトラッキングにより、専門家は手術中に自分の動きを記録することができ、どのように手術を行ったかを学生に視覚的に説明することができます。Miyazaki博士の模擬手術では、博士が講師と学生両方の技術と適格性を、アイトラッキングの録画を使って評価します。学生の録画内容を見返すことで、教えた技術の理解度と応用力を評価することができるのです。たとえ彼が実際にはそこにいなくても、このように彼は手術室の中にいるのです。さらに、専門家の最初の録画内容を見返すことで、彼は講師の質も評価することができます。

利点4:専門家でも、さらなる改善点が見つかる

経験を積んだ専門家が、手術の合計時間を長くしてしまうような無駄な動きを、どこで最小限に抑えられるか発見できたことは、アイトラッキングの使用がもたらした予想外の成果でした。Miyazaki博士は、手術中に、自分が手術用ライトを30回も調整していることを発見しました。目線をライトにそらすたびに、焦点を再び合わすために10秒の時間がかかっていました。これらの調整を行う時に視線を患者に合わせたままにしておくだけで、手術の合計時間を何分も短縮することができました。手術時間が長くなると合併症のリスクが上がるため、このように手術時間を短縮できることは非常に重要です。

Dr. Miyazaki using Tobii Pro Glasses 2 to perform test surgery

リモートトレーニングの分野におけるアイトラッキングの未来

Miyazaki博士のような先駆者のおかげで、医療におけるアイトラッキングの未来に弾みがつく一方です。彼はこう明言します。「アイトラッキングはリモートトレーニングに非常に役立ちます。リモート学習と組み合わせた実地体験できる模擬装置を利用できれば、技術の短期習得を可能にし、実施できるトレーニングの量を最大化することができるので、より短い時間枠内で、より効果的な指導を行うことができます」

アメリカ医科大学協会は、アメリカでは、医師への需要が供給よりも早いペースで増加し続けるため、2032年までに約122,000人の医師が不足すると予想しています。最近のパンデミックによって既に教育現場に障壁が発生しているため、医療業界では将来の医療専門家をトレーニングするための新しいアプローチを考え、更なる学習格差を減らす必要があります。アイトラッキングを使うことで、外科医の目を通して、制限された視界の状況がどのようになるかを実際に見ることができます。リモートトレーニングの選択肢と組み合わせたこの利点は、発展し、変わりゆく時代に適応し、現在進行中の教育需要に対応し続けるので、地域社会でも有益な役割を果たすかもしれません。

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