Person driving a car

事例

飲酒による運転への影響を検証

一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)様

カテゴリー詳細

  • 執筆者

    Tobii

  • 読了時間

    6分

背景

飲酒が運転へもたらす影響を調べる「JAFユーザーテスト」を実施

車を運転する皆様の心強い味方、JAF(一般社団法人 日本自動車連盟)様。

JAF様では、「自動車ユーザーに対し、安全と安心の支えとなるサービスを提供するとともに、交通の安全と環境のための事業活動を積極的に推進し、健全なくるま社会の発展に貢献する」という基本理念を掲げています。

JAF様では、その理念のもとで、ロードサービスだけでなく、社会的な課題の解決にも取り組んでいます。

課題

車社会での大きな課題の一つが、飲酒運転です

法改正や厳罰化などによって飲酒運転の事故は、たしかに減少傾向にはあります。2021年に自動車等の飲酒運転が原因となった交通事故は2,198件で、前年比で324件減少しています。しかし、飲酒運転そのものを根絶し、飲酒運転による事故をゼロにしていく必要があります。

そこで今回は、自動車ユーザーが普段感じている疑問や不安、社会的な課題などを解決するため、JAFがユーザー目線でさまざまなテストを実施し、メディアを通じて社会に広く啓発している「JAFユーザーテスト」の一環として、飲酒と酒気残りがもたらす運転への影響について検証することとなりました。

JAF driving simulator

メソッド

運転シミュレーターで、「飲酒前」「飲酒直後」「翌朝」の走行状況を調査

今回のテストは、JAF愛知支部様が2022年に導入した最新の運転シミュレーターを使って行われました。このシミュレーターは、JAFオリジナルのコンテンツや危険予知トレーニングのコースも含めて157種類ものコースがあります。

今回は、男女3人ずつ、6人のモニターにこの運転シミュレーターで市街地や山道を走行していただきました。

テストは、飲酒が運転にどのような影臀を与えるか、翌朝は酒気残りによる影響がないのかについて検証するため、「飲酒前」「飲酒直後」「翌朝」の3パターンで行われました。6人のモニターには、トビーのウェアラブル・アイトラッカー「Tobii Pro グラス3」を装着していただき、運転ミスや事故の有無のチェックと共に、視線の計測も行いました。

運転シミュレーターによる「ユーザーテスト」では、まず、練習走行を行った後、飲酒する前と飲酒直後、ひと晩寝た後の翌朝(飲酒開始から10時間後)の計3回、ハンドル操作やブレーキ・アクセル操作ミスなどの運転ミス回数や事故の有無を調べました。

また、アイトラッカーでは 飲酒によって視覚機能に異常はないかを測定しました。

走行中、歩行者や自転車、対向車などの見落としがないか、さらに、首を振って注視をしたかなどを計測しました。

JAF driver simulator

結果

飲酒直後だけでなく、翌朝にも飲酒による運転ヘの影響が確認された

「ユーザーテスト」の結果、飲酒直後は飲酒前と比べて、ハンドルやアクセル、ブレーキの操作ミスが2~8倍程度増え、事故も増える傾向が見られました。

また、翌朝のテストでは「酒が残っている感覚はない」とコメントしたモニターもいましたが、飲酒前の結果と比較すると、操作ミスなどが増えていることが分かりました。飲酒直後だけではなく、翌朝にも運転能力の低下が見られたのです。

また、「どこを見ているか分かる」アイトラッキングによる視線計測でも、飲酒直後は、視野が狭くなって見落としが多くなる傾向が見られました。

飲酒前は首を振って側方の安全に気を配っていたモニターも、飲酒直後はミラーを見る頻度が減ったり、正面を注視するなど視野が狭まる様子が確認できました。また、接近してくるバイクを目でとらえていたにもかかわらず、対応が遅れて事故にいたったモニターもいました。

翌朝は、3人のモニターが歩行者や自転車などを見落としたり、前方の狭い範囲のみ目視確認する様子が見られました。このことから、飲酒の影響が翌朝にまで残り、重大事故に発展する危険性があることが証明されました。

JAF driver simulator study heatmaps
飲酒前 横断歩道脇までしっかり確認している
JAF driver simulator study heatmaps
飲酒後 正面の一点を見ていることが多くなり、周囲を確認しなくなる傾向がみられた
アイトラッキングによって、飲酒直後は視野が狭くなり、見落としが多くなる傾向が見受けられました。それだけでなく、翌朝にアルコール検知器でアルコール反応が出なかったモニターやインタビューで「酒が残っている感覚はない」と話したモニターも、危うく子どもやバイクと接触しかける、対向車線にはみ出して走行するなど、お酒による影響が見られました。
日本自動車連盟 交通環境部 調査研究課 内海 大輔様
自分自身の感覚やアルコール検知器の結果だけで判断するのではなく、眠気や体のだるさが残っていたり、体調が優れない場合は、運転を控え、公共交通機関を使用することが大切ですね。飲酒した翌朝であってもお酒の影響が残っている可能性があることを知ってもらいたいです。JAFは今回のテスト結果を通じて、飲酒運転による悲惨な事故を1つでも無くなるように啓発していきます。
日本自動車連盟 交通環境部 調査研究課 内海 大輔様

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  • 執筆者

    Tobii

  • 読了時間

    6分