Eye tracking classroom expands horizons
The Faculty of Informatics and Information Technologies, the largest and oldest university of technology in Slovakia, has introduced a fully-equipped eye tracking classroom, as well as an eye tracking lab.
規則に基づく教育研究では、心理学の原理を取り入れており、個人が特定の規則の概念やスキルをどのように学習するかを調査するために、心理学の原理を特定の規則に応用しています。これには、化学、物理、数学などのSTEM分野や、芸術、歴史などの人文科学分野が含まれます。化学教育研究(CER)の分野では、生徒がどのように化学を理解するかに注目しており、生徒が化学を学ぶ時に直面する困難を明らかにし、化学をもっと手の届きやすい科目にするため、教え方を改善する取り組みが行われています。
生徒が直面する困難
化学を学ぶ生徒が直面する主な障害は、規則の性質に実体がないことです。化学は肉眼では見えないくらい小さい原子と分子の相互作用を主に取り扱います。そのため、生徒はこれらの現象を実際の世界で経験することはありません。Alex Johnstoneは、化学を学ぶのが難しい理由は、3つのレベルで理解しなければならないためだと提唱しています。3つのレベルとは、原子と分子の極微小物体(または微粒子)レベル、実際に観察できる日常現象といった肉眼で見えるレベル、そして我々がこれらの概念を他の人に伝えるために使用する方程式や表現といった象徴的レベルです。化学の専門家は、これらの3つのレベルを境界の無い状態で一体化することができますが、新しく化学を学ぶ生徒はこれらの関係を理解することに苦労するのです。具体的に言うと、我々は、数学が得意な生徒が概念を理解することなく化学を正しく理解するのをよく目にします。なぜなら、彼らは、自分の持つ数学的理解を微粒子レベルの原因または現実世界の肉眼で見える影響に関連させることなく、問題を解くためのアルゴリズムやヒューリスティクスを使うことができるからです。この難題に打ち勝つために、研究者達は、生徒がこの極微小物体のレベルを、より具体的に視覚化できるように、微粒子レベルの図表を指導に組み込むことを提案しました。これにより、化学を教える時に視覚化資料を使うことがブームとなり、静止画像だけでなく、アニメーションやシミュレーションも指導の質の改善や生徒の概念的な理解度の向上のために使われるようになりました。
化学では象徴的レベルが非常に一般的であるため、この分野では長い間、テキスト、オンライン宿題システム、アニメーションやシミュレーションのような電子リソースなどの教材を視覚化して生徒の反応を調査することに重点を置いてきました。化学の教育の研究者は、生徒の問題解決戦略、概念理解、自己効力感のような感情領域の影響、生徒の成功に与える影響など、視覚化をあまり重視しない分野についても調査しました。
化学教育研究におけるアイトラッキングの活用
これらの問題を調査するために、CERはしばしば心理学やその他の社会科学の研究手法を利用しています。これまでには、研究におけるこれらの問題に対して、インタビュー、調査、観察のプロトコル、学力検査などの、直接的でない手段で解答が得られていました。アイトラッキングの導入により、生徒の行動を、これまでよりも直接的に、定量的に測定することが可能になりました。そして、アイトラッキングは過去10年の間に、CERで幅広く採用されてきました。アイトラッキングは特に、視覚化資料や教材を生徒が使用したかどうかを調査するのに適していますが、問題解決型の実習研究トピックにも応用されてきました。
CERの分野でアイトラッキングが使用された初期の事例としては、生徒がどのように微粒子レベルの相互作用に関するアニメーションを見ているかを、専門家の同じアニメーションの見方と比較するという私自身の研究 があります。以前発表した、生徒の学力検査やインタビューのプロトコルを扱った論文では、専門家(教室の先生)が生徒に粒子の動きや相互作用を理解させるためにアニメーションの使用を奨励していたにもかかわらず、教室での生徒の学力向上には結び付かなかったことが示されました。アイトラッキングにより、我々は、上手く効果が出ないことの原因がどこにあるのかを調べることができ、講師自身が見ているものを生徒達は実際に見ていないこと、つまり、アニメーションで完全に間違ったエリアに重点を置いていたことを示すことができました。アイトラッキング技術のおかげで、視覚的な注意を引き寄せるために関心を持たせたい微粒子をハイライトするなど、アニメーションに小さな変更を加えてテストすることにより、我々はこの問題を解決し、生徒の学力到達度と概念の理解度を改善することができました。
それ以降、アイトラッキングは、化学を教える教室での多くの視覚化に関する取り組みを調査するために使用されてきました。Herrington等の最近のプロジェクト では、生徒が、変数を操作して、変更後の微粒子レベルの結果と肉眼で見えるレベルの結果を観察するというシミュレーションにどのように対応しているかについて調査しました。この調査は、化学の知識の土台を持たず指導も受けていない生徒達が、自分達に与えられた微粒子レベルの資源を使用せずに、代わりに予備知識とアルゴリズムの考え方を使って問題に答えることに集中していたことを証明しました。
Stieff 等は、複数の表現が提示された時に、生徒達がどのように使用するかについて調査しました。この調査では、様々な視覚化表現の間で生徒の視線(注意)が分割されること、そして、生徒が数学的な表現よりも空間視覚的な表現を好むことが示されました。この調査は、Williamson等の研究作業によって補完されました。Williamson等は、問題解決のために複数の表現を提示された生徒が、より役立つ表現があるにもかかわらず、それを無視して、シンプルで最も馴染みのある表現だけを使うことを示しました。
生徒の問題解決のための調査におけるアイトラッキング
生徒の問題解決の調査に関して、多くの研究者達は、生徒が化学スペクトルなどの視覚的データをどのように活用しているかを見るためにもアイトラッキングを使用しました。
Cullipher等は、生徒(初心者)と専門家ではこれらのスペクトルの読み取り方が違うことを示しました。これにより、この難しいスキルを新米の化学者(生徒)にどのように教えるのがベストなのかを、教室で教える講師に示すことが可能になります。同様に、Cortes等は、生徒が複雑な生化学のプロセス(biochemical pathways)を含む画像をどのように読み取っているのか、そして生徒が問題に答えるためにこれらのプロセス内の情報をどのように見つけているのかについて調査しました。これは、我々が問題解決行動を理解する助けとなります。インタビューでは理解できないことです。また、ユーザーが何をしているのかをリアルタイムで見ることができます。
更に用途が広がり、アイトラッキングは生徒が文章問題と多項選択式問題をどのように読み取って解答しているかについての調査にも使われました。アイトラッキングは、他の分野でも読み取り行動の調査に幅広く適用されてきた一方で、これらの研究は、生徒の認知資源に過負荷をかけることなく生徒の化学知識を検査するベストな評価項目を考案するための見識を、教室で教える講師や評価方法を考案する設計者に与えています。
総合的に見ると、アイトラッキングは、以前は不可能だった方法で生徒の行動を定量化することにより、化学教育研究の分野にとって非常に有益であることを証明しました。アイトラッキングは、アニメーションやシミュレーションといった教材の設計方法の改善や、スペクトルや生化学的プロセスのような視覚化資料を使った問題解決方法の生徒への教え方の改善に役立ちました。DBER研究が非常に多く適用される一方、これらの研究結果は、研究中の分野に特有のものであり、その効果はこれらの分野に従事している人々に対して、より明確に伝わっています。アイトラッキングは、定性分析よりも、定量データを作成するのに有利です。なぜなら、定量データはSTEM分野の人々の言語を使うからです。このような定量分析の結果は、STEMの学部の人々にとっては慣れ親しんだものなので、彼らは調査結果を受け入れやすいのです。教材として生徒に使用させることに興味があるDBER研究者にとって、また特に化学などの視覚化の需要がある分野の研究者にとっては、指導を改善する助けとなるデータの提供ツールとして、アイトラッキングほど適したものはありません。この役立つツールの使い方を詳しく知りたいDBERの研究者は、こちらを参照してください。
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