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人間の行動メカニズムを理解し、新しいテクノロジーに活かす

事例

人間の行動メカニズムを理解し、新しいテクノロジーに活かす

名古屋大学 未来社会創造機構

名古屋大学未来社会創造機構では、人間の行動メカニズムを理解することで新しいテクノロジーに役立てる方法を研究しています。

はじめに

名古屋大学未来社会創造機構のHMI・人間特性研究部門では、人間と知能システムとのインタラクションデザインを研究しています。新しいモビリティインターフェースとサービスの構築を目指し、運転中のドライバーの行動分析に基づいた新しいインターフェースとサービスの導入に取り組んでいます。アイトラッキングを活用することで、ドライバーに干渉することなくドライバーの重要な視線の動きを認識することが可能になります。

ドライバーの視線の動きは、運転者の意図を理解し、HMIの受容性と使いやすさを評価するための主な手がかりの1つです。
名古屋大学 未来社会創造機構 HMI・人間特性研究部門 特任教授 田中 貴紘先生

研究内容

日本では、高齢ドライバーによる交通事故が増加しています。さらに、日常生活における自立した運転を維持するために、自動車はますます重要になっています。そこで、名古屋大学未来社会創造機構は、高齢の自動車ユーザーを支援し、運転スキルの向上を促すドライバーエージェントシステムを提案する研究を実施しました。

 50歳から76歳までの男女30名を対象に、運転シミュレーター内で交差点の一時停止標識に近づく際のドライバーの挙動を調査し、視覚情報処理能力、意識配分機能、視野角を明らかにしました。

音声エージェント、視覚エージェント、ロボットエージェントの3種類の異なるドライバーエージェントを用いた実験を行い、最も効果的なバージョンがどれであるかを特定しました。衝突率が高い危険区域を通過する際に各エージェントが運転のガイドを行い、Tobii社のアイトラッカーで運転者の注意散漫を把握するための視線データを記録しました。

結論

研究の結果は、音声や映像よりも、ロボット運転エージェントが安全運転行動の促進と事故防止に最も効果的であることを示しました。ロボット運転エージェントは最も目立ち、邪魔にならず、高齢ドライバーの大多数にとって最も受け入れやすいものでした。視線はロボット運転時に最も集中し、注視時間は非常に短く、必ずしも運転に大きな妨害をもたらすわけではないことを示唆しています。

 Image 1: Voice condition Image 2: Visual condition    Image 3:  Robot condition
Image 1: Voice condition Image 2: Visual condition Image 3: Robot condition

最も気づきやすいと想定していた音声エージェントは、高齢ドライバーにとっては効果的ではありませんでした。視線パターンが最も分散していたことから、高齢ドライバーは提供されている情報を十分に理解できず、本能的に情報源を探していた可能性を示唆しています。

参考文献

Takahiro Tanaka, Kazuhiro Fujikake, Takashi Yonekawa, Misako Yamagishi, Makoto Inagami, Fumiya Kinoshita, Hirofumi Aoki, Hitoshi Kanamori (2018). 
 
Study on Driver Agent based on Analysis of Driving Instruction Data - Driver Agent for Encouraging Safe Driving Behavior (1)

Takahiro Tanaka, Kazuhiro Fujikake, Takashi Yonekawa, Makoto Inagami, Fumiya Kinoshita, Hirofumi Aoki, Hitoshi Kanamori (2018).

Effect of Difference in Form of Driving Support Agent to Driver’s Acceptability - Driver Agent for Encouraging Safe Driving Behavior (2)

Takahiro Tanaka, Kazuhiro Fujikake, Yuki Yoshihara, Nihan Karatas, Hirofumi Aoki, Hitoshi Kanamori (2020)

Preliminary Study for Feasibility of Driver Agent in Actual Car Environment -Driver Agent for Encouraging Safe Driving Behavior (3)

Takahiro Tanaka, Kazuhiro Fujikake, Yuki Yoshihara, Nihan Karatas, Kan Shimazaki, Hirohumi Aoki, Hitoshi Kanamori (2020).

Analysis of Distraction and Driving Behavior Improvement Using a Driving Support Agent for Elderly and Non-Elderly Drivers on Public Roads

執筆者

Tobii

読了時間

6 min

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