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調査分析サービス リサーチャーインタビュー

アスリートを支える最新のスポーツ科学

カテゴリー詳細

  • 執筆者

    Dr. Mirjana Sekicki

  • 読了時間

    5 min

  • 2022年12月6日

一流スポーツ選手のトレーニングにおける生理学的、情動的、知覚的認知行動の重要性についてAdam Kiefer 助教にインタビューしました。

Adam Kiefer thumbnail

Adam Kiefer 助教は、アメリカにあるノースカロライナ大学チャペルヒル校で運動・スポーツ科学の助教をされています。STAR Heel Performance Laboratory(シミュレーション・トレーニング・アナリティクス・リハビリテーションヒールパフォーマンス研究所)の共同責任者でもあります。トレーニングや臨床結果を向上させるための技術と人工知能(AI)を用いて、運動パフォーマンスの向上と傷害の予防について研究しています。

研究の目的は?

STAR Heel Performance Laboratoryのミッションは、健康とパフォーマンスの向上のために、行動・運動科学、没入型テクノロジー、人工知能を組み合わせて研究し実世界に応用することです。

私たちの研究の目的は、アスリートの視線と思考データの分析に基づいた洞察を得て、スポーツトレーニングをデジタル化することです。最終的には、これらの洞察をアスリートやコーチにとって実用的なものにし、各選手のパフォーマンス向上を最大化するパーソナライズされたトレーニング方法を開発したいと考えています。

初期の研究では、ウェアラブルアイトラッカーと一般的なビデオカメラを組み合わせて、視線と運動の関係をデジタル化することに注力していました。そこから発展して、スポーツ特有のダイナミックな動きをしている際に、身体的・精神的ストレスが視覚的注意や運動能力にどのような影響を与えるかについて研究を広げています。

研究を始めるきっかけとなったもの、モチベーションを維持させているものは?

きっかけは、競技やトレーニングがより高度になるにつれて、アスリート間の身体能力の差がなくなってきていることです。

スポーツでのスキルや技能を高めるには、筋力、パワー、持久力といった身体的な領域だけではなく、心理、感情、知覚認知的な行動にも注目する必要があります。

しかし、比較的に簡単に計測や評価ができる身体的なトレーニングとは異なり、心理、感情、知覚認知的な行動面はあまり理解されておらず、容易に解釈できるものではありません。そこで、心理・知覚・認知プロセスを理解するための新しい指標を作成し、トレーニング支援を設計し実行したいと考えました。

継続するモチベーションは、ウェアラブルアイトラッカーでのトレーニング中のデータ取得はかなり容易になったものの、トレーニング中の特定の行動とデータを紐づけるデータ処理はまだ迅速化できていないという課題があることです。この問題の解決に取り組むことで、スポーツ分野での研究がさらに加速するとともに、より多くの人々がアイトラッキングデータを利用しやすくなるでしょう。

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これまでの研究の成果は?

2021年、視線や動作データの収集、分析、報告を自動化するデジタルプラットフォームを開発し、データ処理にかかる作業負担を最小限に抑えました。このプラットフォームをクラウド上に構築したことで、データ処理の自動化に必要な機械学習モデルの開発とトレーニングを促進することができました。2022年の秋にはノースカロライナ大学チャペルヒル校の技術・商業化オフィスと Elipsys LLC が共同で特許を申請しています。

このプラットフォームをバスケットボールやサッカーの研究に導入し、プレッシャーや疲労などのストレスが集中力を示す指標とされるアイトラッキング変数Quiet Eye(クワイエットアイ)にどのような影響があるか検証しています。Quiet Eyeとは、運動中に特定の場所で視線が静止していることをいい、運動中の集中力を測る指標として使われています。現在も研究は継続中ですが、バスケットボールやサッカーのアスリートにおけるこの指標の基準がまもなく発表される予定です。

実験にアイトラッキングを取り入れることで、どのような効果があったか?

アイトラッキングはこの研究に不可欠なものです。この技術がデジタルインフラをサポートすることによって、スポーツのパフォーマンス評価やトレーニングに取り入れるなどの発展を期待しています。Tobii Pro グラス3は使いやすいだけでなく、開発もしやすいため、デジタルプラットフォームの展開に役立っています。

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これからアイトラッキングを取り入れる方へのアドバイスは?

ウェアラブルアイトラッカーを使うことで、どこでも簡単に欲しいデータが収集できます。しかし、そのデータをどう解析するかという具体的な方法はほとんどの人が見落としています。この問題は、実験タスクがダイナミックなほど強くなります。解析にはコーディングが必要になり、データ量によっては複数人でコーディングしてもかなりの時間を要することがあります。実験前に処理方法を検討し、アイトラッカーと他の計測機器を併用する場合は機材間のタイミング同期方法なども検討しておいた方がいいと思います。

今後の目標と現在取り組んでいる研究課題は?

将来的には、多くのスポーツでデジタルトランスフォーメーションに関連する自動処理デジタルプラットフォームの開発を続けていくつもりです。

また、より複雑な競技環境にも対応できるように、眼球運動データを行動認識モデルに落とし込むことも検討しています。時間がかかるデータのコーディングや後処理のボトルネックを解消し、より簡略化することでアスリートのパフォーマンス研究を加速させていきます。

関連情報

Kiefer助教のラボの最新情報は、ResearchGateと Twitterをご覧ください。

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  • 執筆者

    Dr. Mirjana Sekicki

  • 読了時間

    5 min

  • 2022年12月6日

Research spotlight interviews

このインタビューシリーズでは、研究者たちが、幅広い用途でアイトラッキングをどのように使ってきたかを紹介しています。

Interviewer

  • Tobii Pro - Dr. Mirjana Sekicki - Scientific Research Account Manager

    Dr. Mirjana Sekicki

    EYE TRACKING RESEARCH ADVOCATE, TOBII

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