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新奇なものに対するサッケードが 脳の広範囲な活性化を促す

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新奇なものに対するサッケードが 脳の広範囲な活性化を促す

コンピューター画面の輝度がわずかに変化したり、視線を素早く別の地点に移動させたり(サッカード)、映画を見ている場合、私たちの脳は特に視覚環境の変化に敏感に反応します。脳は、視覚刺激によって引き起こされる視覚的な変化に対して、さまざまな部位を活性化します。

これまでさまざまな種類の視覚的変化(運動、サッカード、動的刺激など)は、独立した研究の対象とされてきました。しかし、Maximilian Nentwich博士率いるニューヨーク市立大学の研究者らは、映画鑑賞中におけるこれらの視覚的変化の組み合わせが、私たちの脳活動にどのような影響を与えるのかを研究しました。

iEEG(intracranial electroencephalography)は、脳に直接電極を埋め込むことで脳活動を記録する技術です。この技術を利用して、研究者たちは映画鑑賞中における3つの視覚的変化(刺激の動き、サッカード、新奇な情報が豊富なシーンの切り替え)が脳活動にどのような影響を与えるのかを探求しました。

研究の結果、映画のシーンの切り替えやサッカード時には、脳が広範な領域で活動することがわかりました。一方で、動く刺激を見る場合には、視覚脳領域のより限定された領域で神経細胞の活動が誘発されました。

特に、映画のシーンの切り替えやサッカードに対する広範な脳の反応は、映画で提示される情報の意味、顔、新奇性の処理と関連している可能性が高いと著者らは論じています。つまり、映画の中で重要な出来事や意味の変化が起こる場面でシーンの切り替えが行われると、脳の側頭葉と内側側頭葉の反応が高まります。

この研究により、サッカードが以前に考えられていたよりも広範な脳領域を調節し、高次の認知処理に関与している可能性が高いことが示されました。また、シーンの切り替えや眼球運動も、脳に広範な影響を与えることがわかりました。これは、新しい情報が導入されることによって、脳の異なる領域が活性化し、情報の処理や解釈が行われることを示唆しています。

参考文献

Nentwich, M., Leszczynski, M., Russ, B.E. et al. Semantic novelty modulates neural responses to visual change across the human brain. Nat Commun 14, 2910 (2023).

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執筆者

Ieva Miseviciute

読了時間

2分

著者

  • Ieva Miseviciute, Ph.D.

    Ieva Miseviciute, Ph.D.

    SCIENCE WRITER, TOBII

    As a science writer, I get to read peer-reviewed publications and write about the use of eye tracking in scientific research. I love discovering the new ways in which eye tracking advances our understanding of human cognition.

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