モバイルデバイスにおけるアイトラッキング調査

  • Tobii
  • 10 分

Woman at a computer using an eye tracker

アイトラッキングは、ユーザーの視線を可視化し、デザインプロセスのどの段階においても、UXリサーチチームの皆様に、価値あるデータを提供します。
アイトラッキングとUXテスト」の記事で概要を説明していますので、合わせてご覧ください。

率直に言うと、これまでは、アイトラッキングを通常のUXリサーチに組み込むには、次の2つの課題により、簡単なものではありませんでした。

  • ほとんどのアイトラッキングソリューションは、デスクトップでの利用を想定されているため、スマートフォンなどのモバイルにおける利用はごく僅かでした。現在では、モバイルは世界中のウェブトラフィックの半数を占めており、それに伴い、アイトラッキングを使ったUXリサーチは、モバイルファーストでなければなりません。
  • 視覚データを取り扱うには、少なからず専門知識が求められ、データや分析に不慣れであるために通常のUXリサーチに組み込むことが困難でした。

Tobiiでは、アイトラッキングを使ったUXリサーチをより簡単なものにするため、この2つの課題に取り組みました。ここでは、Tobiiが提供する新機能がどのように機能し、どのようなインサイトが得られるかについて解説し、さらに3つの調査事例をご紹介します。

1. Tobiiのアイトラッカーを活用した、スマートフォンにおけるUX調査

ユーザーがスマートフォンを使ってWEBサイトやアプリを閲覧する場合、スマートフォンの画面をHDビデオとして録画し、調査を実施できます。アイトラッキングは、スマートフォン上でユーザーがどの要素にどのようなインタラクションをしているかを理解する場合のUXリサーチに適しています。

2. 解析ソフト「Tobii Pro ラボ」のアシストマッピング機能で分析時間を短縮

Tobii Pro ラボ のマッピング機能を拡張しました。アシストマッピング機能はモバイルテストに対応し、指向性リサーチや短時間での調査に最適です。「ユーザーがどのようにインタラクションを行うか」、「ユーザーが何を見て、何を見落としていたか」、「Webサイトやアプリをどのように見て回っているか」、「どのコンテンツがよく見られているか」などを評価したい場合に活用できます。アシストマッピング機能を使用することで、UXリサーチャーは、自動的にデータを取得し、対象物に対して見た順番(ゲイズプロット)、および時間経過に伴う対象物への視覚的注意の集計(ヒートマップ)をなどのビジュアライゼーションが簡単に行えます。関心領域(AOI)を割り当てることで、対象物における関心領域に基づく数値的および統計的分析が可能になります。最初に視線が停留するまでにかかった時間や、総停留時間などの指標により、ユーザーがWebサイトのコンテンツを見る際に、調査対象となる関心領域にどれだけ早く気づき、関心を持つかを理解することが可能になります。

これらのインサイトは、デザインプロセスのどの段階でも使用することができます。

また、スマートフォン向けのユーザビリティテストを行う際に便利な、スマートフォン調査用セットもご用意しています。アームを調整して自然な位置にスマートフォンを配置できるので、普段通り自然にスマートフォンを使うことが可能です。

モバイルにおけるUXリサーチの3つの事例

ナビゲーション

ユーザーがスマートフォンでブラウザを起動した際、サイト内を見て回る前に様々なコンテンツやメッセージに触れるかと思います。Tobii Pro ラボのアシストマッピング機能は、ユーザーの経路とサイト上の他の機能やコンテンツどのインタラクションを正確に特定し、測定することができます。また、ゲイズプロットを用いたビジュアライゼーションでは、ユーザーがどういう順番でコンテンツを見ていたかを提供し、ヒートマップは、サイト上の魅力的なコンテンツが何かという情報を提供できます。

メッセージ

メッセージは、ユーザーに重要な情報を伝える最も簡潔な方法です。配置する場所や方法は、エンゲージメントに顕著な影響を与えます。この例では、メッセージはトップページの上部に配置されています。ユーザーは比較的早くメッセージに気づいたにもかかわらず、コンテンツへのエンゲージメントは比較的低く、ほとんどのユーザーは他のコンテンツを求めてスクロールして通り過ぎています。このよう視線の録画を見ることで、ユーザーの行動を明確に観察することができるようになります。アシストマッピングツールを使用し、スクリーンショットにAOIを割り当てることで、サイト上のメッセージの気づきやすさ(最初の停留までにかかった時間)、エンゲージメント(総停留時間)、閲覧頻度(平均停留回数)を正確に測定し、ユーザーがインタラクションから有益な情報を得る機会があったのかを判断することができます。これらのインサイトは、サイト上のメッセージを最適化し、視覚的に注目を集めるための最善の方法(例えば、配置や色、サイズ、長さなど)を決定するのに役立ちます。

ECサイト

アイトラッキングは、ユーザーにとって最も直感的でシンプルなデザインの評価や設計に活用することができます。Webサイトや、プラットフォーム、製品、ブランドに対するユーザーの認識に大きな影響を与える機能的な特徴は様々です。ユーザビリティの高いECサイトは、より効率的な購入経路を構築することで、消費者の購買行動をサポートし、最終的にプラットフォームの継続的な利用につながります。

商品一覧ページや、商品ディスプレイページに両方において、視覚的な注意と商品へのエンゲージメントは、テキストと画像の比率によって影響を受ける可能性があります。アイトラッキングは、ユーザーを惹きつけるコンテンツの視覚的なバランスを判断するのに活用できます。商品一覧ページにおいて、例えば、絞り込みフィルターに関する課題は、アイトラッキングで評価できる課題の一つです。絞り込みフィルターにより、商品ページが見えにくくなってしまうモバイルデバイスの場合、ユーザーが最もよく利用するフィルターの最適な配置を割り出し、その下のオプションをどのように利用しているか、あるいは利用していないかを評価したり、検索結果での商品選択のレスポンスが、フィルターの利用にどのように影響するかを評価することができます。商品ディスプレイページの機能的な側面も、購入までのプロセスに影響を与える可能性があります。アイトラッキングを活用した調査では、すべてのユーザーにとって有効な機能を採用し、現行の機能がどの程度直感的に理解されているのかを評価することができます。

想定される用途

  • 商品ディスプレイページで、特定の商品を選択する際にカラーアイコンとドロップダウンメニューのどちらが適しているか
  • 商品のオプションカスタマイズ時に商品プレビュー画面の応答性の評価
  • 画像プレビューの最適化(例:静止画像をクリックすると追加オプションが表示される、カルーセルの動きなど)
  • 商品を評価または選択するための、ファーストビューより下にあるコンテンツがどれだけ見られて、利用されているかの評価

UXのためのアイトラッキング活用ガイド

この活用ガイドでは、モバイルアプリのUIデザイン評価やWEBサイトのUI評価など、幅広いUI調査から得られたデータとその考察結果をまとめています。

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