アイトラッキングの基礎1 アイトラッカーの仕組み

  • トビー・テクノロジー
  • 3 分

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アイトラッキングを使った研究や調査を始めようとお考えの皆様はもちろん、既にアイトラッキングを使っていらっしゃる方にも知っていただきたいアイトラッキングの基礎についてご紹介します。3部構成となっておりますので、是非ご覧ください。

本記事では、

  • アイトラッカーの仕組み
  • 明瞳孔法と暗瞳孔法による瞳孔検出
  • キャリブレーションの仕組み

皆様のお役に立てると幸いです。

Tobiiのアイトラッカーの仕組み

アイトラッキングは、個人の視覚的注意を研究する方法として長く使用されてきました。眼球運動を計測するにはいくつかの手法がありますが、眼球に直接接触しないアイトラッカーでは、一般的に「角膜反射法(PCCR) 」が用いられています。

基本的なコンセプトは図1、図2の通りです。角膜上に光の反射点を生じさせ、その画像をカメラで撮影します。撮影された眼球の画像から、角膜上の光の反射点と瞳孔を識別します。光の反射点やその他の幾何学的特徴を基に、眼球の方向が算出されます。弊社のアイトラッキングシステムは、従来の角膜反射法(PCCR) に改良を加えた技術です( 米国特許 US7,572,008)。

近赤外のLEDによって角膜上に生成された反射パターンをアイトラッキングカメラで取得します。高度な画像処理アルゴリズムと眼球の生理学的3Dモデルを使用して、空間中の目の位置と視点を高精度で推定しています。

スクリーンベースタイプ

Explanation of how the screen based eye tracker works
1. スクリーンベースタイプのアイトラッカーの仕組み

ウェアラブルタイプ

Illustration on how Tobii Pro Glasses 3 work
2. ウェアラブルタイプのアイトラッカーの仕組み

明瞳孔法と暗瞳孔法による瞳孔検出

角膜反射法のアイトラッキングでは、近赤外の光の照射方法が2種類あります。

明瞳孔法

近赤外LEDとアイトラッキングカメラの光軸を近づけ、瞳孔を虹彩よりも明るく検出する方法(写真に映った時の「赤目」と同じ現象)

暗瞳孔法

近赤外LEDとアイトラッキングカメラの光軸を離し、瞳孔を虹彩よりも暗く検出する方法

explain about bright pupil effect and dark pupil effect
3. 明瞳孔法と暗瞳孔法

この2種類の方法では、それぞれ瞳孔検出に影響を与える要因が異なってきます。
明瞳孔法では、瞳孔サイズに影響を与える「計測環境での光」や「年齢」といった要因が、瞳孔検出にも影響を及ぼす可能性があります。また、人種もその一つです。明瞳孔法はヒスパニック系や白人系の人々の目に適していますが、アジア系の人々には暗瞳孔法が適しています。

Tobii のアイトラッキングアルゴリズムは明瞳孔法と暗瞳孔法を使用してより高い精度で計測します。上位機種では、異なる2つの手法による瞳孔径測定の誤差を避けるため単一モードでの計測を行い、信頼できる質の高いデータを提供します。

キャリブレーションの仕組み

Illustration on how Tobii Pro Glasses 3 work
4. Tobii Pro グラス におけるキャリブレーションの方法

キャリブレーションは正確に視点を算出するために被験者の目の幾何学的特徴を取得するプロセスです。アイトラッキングでは、レコーディングを開始する前にキャリブレーションを行います。アイトラッカーは被験者の目の特徴を計測し、それを基にカスタマイズした解剖学的な3Dアイモデルを使って視点を算出します。

この3Dアイモデルには角膜や中心窩の位置、形状、光の屈折や反射特性に関する情報が含まれており、被験者がキャリブレーションポイントを注視している時の目の状態を画像として取得します。明瞳孔法と暗瞳孔法の2種類の瞳孔検出方法から、計測環境下の光の条件や被験者の目の特徴に合わせて最も適した方法が判別されます。

被験者はキャリブレーション中に頭部を完全に固定しておく必要はありません。キャリブレーションが完了すると結果が表示されます。誤差が大きい場合は、「被験者がポイントを注視していない」、「キャリブレーション中に気が散っている」、「アイトラッカーが正しく設定されていない」といった要因が影響している可能性があります。

次回は、

  • 人間の視覚システムについて
  • 眼球運動の種類
  • 停留フィルタ

について解説します。ぜひこちらもご覧ください。

   

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