消費者の購買分析「予算によって購入意欲は影響するのか？」

予算管理とは経済的目標を達成するため、支出を事前に計画、カバー、将来に備えた貯蓄をすることです。しかし、経済心理学の研究では、予算の大きさが購買行動に影響を与え、支出が増えたり減ったりする場合があることが観察されています。

研究者たちはアイトラッキング（視線計測・視線追跡機器）を使用し、オンライン購入時の消費者の注意を調査しました。異なる予算が購入の選択と視線にどのように影響するか分析しました。実験室で被験者らは、与えられた予算内で商品を選ぶ際、どのような視線の動きで選択しているか観察されました。

調査の結果、予算の大きさに応じて購入の可能性が高まること、そして支出金額が高ければ購入の意思決定が早くなることが明らかになりました。また、アテンションデータから、この結果のメカニズムが明らかになりました。購入の意思決定が予算の大きさに左右される場合、特に予算が大きい場合は、予算と価格を行ったり来たり見比べている傾向が顕著にでます。一方で、予算の影響を強く受けていない人の視線パターンは、より大きなばらつきが見られました。

本研究から、予算対購入比率が高い場合、つまり予算に比べて購入額が大きい場合、個人の購買能力が高まる可能性があります。
また研究結果から、無駄な買い物を避けるためには、予算対購入比率を低く設定することが有効だと言えます。さらに、新商品を閲覧している間も予算を見えるようにしておくと、購入に踏み切る可能性が低くなると考えられます。

参考文献

Amasino, D. R., Dolgin, J., & Huettel, S. A. (2023). Eyes on the account size: Interactions between attention and budget in consumer choice. Journal of Economic Psychology, 102632.