アイトラッキングでアルツハイマー型認知症を評価する4つの方法
この記事では、アイトラッキングが早期アルツハイマー型認知症の診断に役立つ可能性を示唆した4つの方法を紹介します。
市場にはアルツハイマー病の進行を遅らせる新薬が出回り始めており、科学の進歩によって、アルツハイマー病治療の次の時代が切り拓かれつつあります。2024年は、「Lecanemab」や「Donanemab」のようなアルツハイマー病治療薬の開発および承認にとって極めて重要な年となりました。
これらの薬は病気の進行を遅らせる効果を秘めていますが、使用するためには、アルツハイマー病を初期の段階で発見することが重要となります。アイトラッキングは、非侵襲的でコスト効率の高い技術で、アルツハイマー病の早期評価の方法を大きく変えつつあります。
アルツハイマー病は、認知症症例の70%を占める神経変性疾患であり、症状が現れるはるか以前から静かに進行しています。現行の診断法(腰椎穿刺や神経画像検査など)は、侵襲的で、高額です。しかも、時間もかかるため、多くの人にとって利用が難しいです。これに対して、アイトラッキングでは、目の動きの微妙な変化を計測して、認知機能の低下を検出する、実用的な方法を提供することができます。
この技術がどのように機能し、早期のアルツハイマー病のスクリーニングをどのように変革できるのかを探ってみましょう。
アルツハイマー病は、眼球運動を制御する脳領域に影響を及ぼし、初期段階でも検出可能な変化が表れます。ここでは、アイトラッキングが早期診断に役立つ4つの方法をご紹介します。
静止した点を注視したり、動いている対象物を追ったりするような基本的なタスクでは、アルツハイマー病特有のパターンを明らかにすることができます。
安定した固視を維持することが難しい。
不随意的な眼球運動が頻繁になる。
目標に向かって素早く正確な眼球運動が必要なタスクでは、パフォーマンスが低下する。
これらの簡単な調査により、アルツハイマー病患者と健常者を95%の精度で見分けることができると、研究で示されています。
反射的な眼球運動を抑制する能力を測定するアンチサッケード課題も、有望なアプローチの1つです。健康な人は通常、トライアルの20%でエラーを起こしますが、アルツハイマー病患者のエラー率は50~80%です。これらの結果は、アルツハイマー病患者を区別するだけでなく、病気の重症度とも相関しています。
アイトラッキングによって、アルツハイマー病患者は視覚探索やシーン探索のようなタスクを行うことが難しいと明らかになりました。こうした問題は記憶障害や注意力の低下によって生じています。
視覚探索のタスクでは、患者はターゲットを見つけるのに時間がかかり、無秩序な探索パターンを示します。
認識タスクでは、患者は馴染みのある画像と新しい画像を区別することが難しく、認知機能低下の初期の指標となり得ます。
リーディングは複雑な認知タスクであり、様々なことが分かります。例えば、固視時間の延長や再読の頻度の増加、リーディング速度の低下などは、アルツハイマー病では一般的に見られる傾向があります。リーディングタスク中のアイトラッキング計測では、約90%の精度でアルツハイマー病患者を特定できるため、診断への活用に期待が高まっています。
画期的な治療法がこれまで以上に身近になる一方で、こうした医薬品は早期発見の重要性を強調しています。アイトラッキングは、プライマリケアの現場に実用的でスケールアップ可能なソリューションを提供し、広範で非侵襲的なスクリーニングを可能にします。
アクセシビリティ: 言語に依存せず、迅速な検査が可能。
快適さ:遠隔で使え、頭部を拘束せずにアイトラッキングが行えるため、高齢者にも適している。
費用対効果:従来の診断法に比べて手頃な価格。
継続的な研究の成果により、眼球運動の指標はアルツハイマー病の信頼できるバイオマーカーとなっており、新たな治療法や既存の診断ツールを補完できる可能性がありますアルツハイマー病治療の新時代が到来しようとしている今、アイトラッキングのような技術は、早期介入や診断を通して、人々の生活の質を改善していくための大きな可能性を秘めています。
この記事では、アイトラッキングが早期アルツハイマー型認知症の診断に役立つ可能性を示唆した4つの方法を紹介します。
コロンビア国立大学(UNAL)の研究者は、トビーの視線計測機器を使用して、アルツハイマー型認知症患者7人の眼球運動の分析を行いました。
この学習記事では、認知プロセスの研究にアイトラッキング技術がどのように利用されてきたか、そしてこれらの研究が生み出した知見を紹介します。